巨大うどん

最終話
 






完成した巨大うどんがどうなってるのか、成功したのか?失敗したのか?
もう大体どんな風になってるのかわかってるけど、鍋をオープン。




ガポッ







モワンと立ち込める湯気。
外気にさらされて次第に薄まっていく湯気。
鍋の中の巨大うどんは一体どうなっているのか?









なんと言うかまあ、予想通りと言うか。
つゆを入れた後の姿と全く変わりはなく、変化と言えば白いアワみたいなのがなくなっただけで 、本当に何も変わってませんでした。




巨大うどんと言うか、変な具の変な色の鍋としか思えないけど、さあ試食タイム。
つゆの香りだけを心のよりどころにして・・・。





「僕がお椀によそってあげるよ」と、T君のお椀を取り上げ、無理やりうどんを入れてあげる僕。




うどんが見事なまでにとぐろ状に無理やり詰め込まれたお椀を渡され、心底げっそりするT君の顔がおかしくて、 僕の顔まで思わずほころんでしまう。

そんな僕の暖かい気持ちをよそに、巨大うどんに噛りつくT君。











熱っ!




熱がるT君を指差して笑いながら「僕も負けてらんねー」とばかりに、うどんはあまり美味しく無さそうなので、ネギに噛り付く。






パクッ



歯を立ててみるも、なかなか噛み千切れないネギに苛立ちを覚えた僕は、思いっきり歯で ギチギチしてみると








ネギの中から熱い汁が飛び出してきて「あひゅっ!」という、「熱い」とまともに発音すら出来ないくらいの熱さに変な汗を流しながらも







もしゃもしゃ





もしゃもしゃ





もしゃもしゃ





ゲフー




見事ネギ一本を食べ終えたわけだが、ここで満足しててはいけない。
まだうどん一本とネギ一本食べただけに過ぎないのだ。



「気を抜くなよ!」とT君を一喝するも、まだ十本近くのうどんと、十本近くのネギが残っている事を 自分の吐いた台詞により再確認して気持ちは暗くなる。



逆に考えるんだ。
「まだこんなにも残ってる!ラッキー!」
と考えるんだ。



そうだ、僕の好物のうどんとネギがこんなに残ってるのだ。
好物をこんなに一度に食べられるのは幸せ以外のなにものでもない。
逆に考えるとはなんて便利な言葉なんだろうか。正に名言!

気を取り直した僕らは残りのうどんに噛り付く。




巨大うどんのその食感は、うどんと言うよりもすいとんだ。
「すいとんはあんまり好物ではないので、こんな沢山あっても別にラッキーではないなあ」 と、また気が重くなる僕ら。




その後何回か同じような浮き沈みを繰り返し、とうとう最後の一口までたどり着いた。 恒例の、最後の一口はT君任せ!により、T君に食べてもらう。






思わず口をすぼめるT君。

「美味しかった?」と聞くと





「美味しかったよ・・・」と力なく答えるT君。

美味しかった事は美味しかったけど酷く疲れる。というコメントと共に巨大うどんは 終了。




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