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「しゃもじでちょぼちょぼやってるから火傷するんだ」
そう思った僕は台所から鍋つかみを取ってきて、炊飯器の中身を
ズボッと取り出し、巨大鍋の上で逆さまに向ける。
ボトンッと落ちるご飯
最初からこうやっておけば一瞬で済む事はわかってたのだが、
階下の台所から鍋つかみを取ってくる手間が惜しかったというか
ただ単に面倒くさかったというか。
この腕の火傷は、何事も面倒くさがってたら駄目なんだと教訓めいた
ものだったのだろう。
空になった炊飯器に再び米を入れ水を入れ、炊飯スイッチを押す。
これを3回繰り返してようやく4キロの米が炊き上がった。
炊き上がった米を全て巨大鍋に移してみたところで
「ああ、これは無理だなあ…」と早くも完食に暗雲が立ち込めてきたのだが
、もうやってしまったものはどうにもならない。
前進あるのみ、後ろは振り向かない。と、ネガティブなのか前向きなのかよくわからない
決意をしたところで次の工程に移る。
次は具作り。
具はマグロとたくわん。
これを食べやすいサイズに細かく切る。
巨大のり巻きだからと言って、具のマグロまで巨大だったり、たくわんが丸々一本入ってたりなんかしたら
物凄く食べ難いので
適当なサイズに切り分ける。
余ったマグロでお寿司屋さんごっこを始める僕ら。
マグロを適当な大きさに切りT君に渡すと、とても美味しくなさそうな寿司を握ってくれた。
僕はそんな汚らしい素人寿司なんて食べたくないので、作ったT君に食べさせる。
「味はどう?」と聞いてみたら
「醤油無いし不味いわ」と言われたのだが、これは醤油だけの問題でもないだろうと思った。
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