巨大どら焼き

第6話



もう反面も綺麗に焼け、大喜びする僕らの後ろで 黙々とクリームと餡子を混ぜるぷりんさんの姿があった。

ぷりんさんは一心不乱に、そして力強くクリームと餡子を混ぜていて、 その頑張る姿を目の当たりにした僕らは感動すら覚えかけたのだが、 混ぜる力が強すぎて餡子がボールからこぼれ出ちゃって、ぷりんさんの周りは餡子まみれ。

と言うか、僕の部屋が餡子まみれ。



「うぉーい、ぷりんさん、もうちょっと、やんわり混ぜてください。汚さないでください、部屋を」と、 吉田は切実に頼んだわけなのだが、ぷりんさんは一瞥をくれるだけで聞く耳持たず。

それどころか、僕の切実な顔が面白かったのか、ケタケタ笑いながら更に力を込めて混ぜだす始末。

気がつけば僕の部屋の床は餡子だらけ。

ボールの中の餡子と飛び散った餡子、半々くらいじゃね?というぷりんさんの飛び散らせ具合に 僕は思わず





とぶちきれたものの、その直後に 「女性に対してなんて暴言を吐いてしまったんだろうか」という後悔の念が襲ってきたのだが 、ぷりんさんは全然動じてなかったので 「ああ、この人はこういう人なのか」と。

部屋に飛び散る餡子の事はもう諦めた。




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